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債権譲渡禁止特約の民法改正|ファクタリング実務への影響

2020年4月に施行された改正民法で、債権譲渡禁止特約の効力に大きな見直しが入りました。従来は売掛先との契約に「債権譲渡禁止特約」が付いていると、ファクタリングなどで債権を第三者に譲渡しても原則無効とされる扱いでしたが、改正後は「譲渡禁止特約が付いていても債権譲渡そのものは有効」と取り扱いが変わっています。この変更により、中小企業や個人事業主がファクタリングで資金調達する際の法的ハードルが下がり、実務面でも売掛先の同意取得の負担が軽減されました。ただし、売掛先(債務者)側の保護規定も整備されており、完全な自由化ではない点に注意が必要。2026年4月時点の実務と踏まえて、改正の要点とファクタリング利用者への影響を整理します。法的な個別判断は弁護士等の専門家へご相談ください。

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改正前後のルールの違い

債権譲渡禁止特約とは、売掛先(債務者)と取引先(債権者)との契約に「この債権は第三者に譲渡してはならない」と定める条項のこと。ファクタリングでは売掛債権を第三者(ファクタリング会社)に譲渡するため、譲渡禁止特約との関係が重要論点になります。

この変更により、譲渡禁止特約の存在だけを理由に「ファクタリングが使えない」という状況は基本的に解消されました。ファクタリング会社側も、譲渡禁止特約の有無を過度に警戒せず買取を検討できる環境になっています。ただし、特約が付いた債権の譲渡は契約違反となる可能性があり、売掛先との関係維持の観点からは慎重な運用が求められます。

改正により資金調達が円滑になった背景

民法改正で譲渡禁止特約の効力が見直された背景には、中小企業の資金調達環境の改善という政策目的があります。

改正後、ファクタリング会社の買取対応が広がり、オンライン完結型サービス(OLTA、QuQuMo、ペイトナーファクタリング、PAYTODAY、labol等)の普及にも寄与。中小企業・個人事業主・フリーランスが売掛金を早期資金化する選択肢は、改正前と比べて明確に広がっています。2026年4月時点でも、この改正を前提に各社のサービス設計が組まれています。

債務者(売掛先)の保護規定

譲渡禁止特約の効力が弱まった一方で、売掛先(債務者)の保護規定も整備されています。改正民法466条は、譲渡制限特約付き債権の譲渡を有効としつつ、債務者側の利益を守る仕組みを導入しました。

つまり改正後も、譲渡禁止特約を完全に無視できるわけではありません。ファクタリング会社は特約の存在を確認した上で買取判断を行い、必要に応じて3社間方式(売掛先に通知・同意を得る方式)を選択することもあります。実務上は2社間ファクタリングでも「譲渡禁止特約があっても買取可能」とする会社が多い一方、特約違反による売掛先との関係悪化リスクは利用者側に残る点を理解しておく必要があります。

供託できるケース

改正民法466条の2では、譲渡制限特約付き金銭債権が譲渡された場合、売掛先は供託する権利を持つと定められました。供託は、支払先が不明確な状況で債務者の責任を免れるための制度です。

実務上、売掛先がファクタリングによる債権譲渡を知った後、対応に迷った場合に供託を選ぶケースは限定的。多くの場合は、ファクタリング会社・譲渡人・売掛先の三者間で合意形成を図り、スムーズな支払いに落ち着く運用が一般的です。ただし、供託という選択肢が法的に確保されている点は、売掛先にとっての安心材料であり、ファクタリング利用者側も想定しておくべき事項です。

ファクタリング業者と利用者への影響

2020年改正は、ファクタリング業者と利用者の双方に具体的な影響をもたらしました。

大手・銀行系(みずほファクター、三菱UFJファクター、NTTファイナンス、オリックス、りそな決済サービス等)は3社間ファクタリング中心、オンライン完結型は2社間中心という棲み分けがある中で、改正は2社間の運用を広く後押しした格好。利用者は自社と売掛先の関係性を踏まえて、2社間・3社間どちらが適切かを判断する必要があります。

売掛先との関係悪化を避ける工夫

譲渡禁止特約違反となる2社間ファクタリングを利用する場合でも、売掛先との関係悪化を避けるための運用上の工夫は可能です。

売掛先との信頼関係は、ファクタリングの一時的な資金調達よりはるかに重要な経営資源。改正民法で法的ハードルは下がったものの、実務的な配慮は改正前と変わらず必要です。2026年4月時点でも、売掛先との長期的関係を前提に、ファクタリングの利用タイミング・方式を選ぶ姿勢が推奨されます。

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よくある質問

改正後でも売掛先が反対したら使えない?

改正民法のもとでは、譲渡禁止特約があっても債権譲渡そのものは有効であり、売掛先の同意がなくても法的には譲渡が成立します。ただし、売掛先がファクタリング会社に対し「悪意・重過失による譲受」を理由に支払いを拒絶できるケースや、取引基本契約に基づく取引停止・違約金請求などの契約上の対抗措置を取ることは可能。売掛先が明確に反対している場合、強行的な2社間ファクタリングは実務上のトラブルに発展するリスクがあります。関係悪化を避けるには、3社間ファクタリングへの切り替えや、売掛先との事前相談を検討するのが現実的。最終判断は、契約書の内容や売掛先の姿勢を踏まえて弁護士等の専門家へ相談することを推奨します。

改正前に結んだ契約はどう扱われる?

改正民法の施行は2020年4月1日で、これ以降に発生した債権には改正後のルールが適用されます。2020年3月以前から存在する債権・契約については、原則として改正前のルール(譲渡禁止特約違反で原則無効)が適用されるとされています。ただし、同じ取引基本契約のもとでも、2020年4月以降に新たに発生した個別の売掛債権については、改正後ルールの適用対象となる解釈が一般的。長期継続取引の場合は、個別債権ごとに判断することになるため、実務上は弁護士等へ相談しながら慎重に対応を。2026年4月時点では改正施行から6年以上が経過しており、改正前の債権を扱うケースは限定的ですが、長期案件では引き続き注意が必要です。

公的機関・自治体の債権には例外がある?

国・地方公共団体に対する債権や、社会福祉法人・独立行政法人などに対する債権には、法律上の特則が設けられている場合があります。地方自治法や会計法、関連する特別法で債権譲渡の可否や手続が個別に定められているケースがあり、民法改正の一般ルールとは異なる扱いを受けることがあるため注意が必要。たとえば、一部の公共工事関連債権は譲渡に特定の手続を要したり、譲渡自体が制限されたりします。医療レセプト債権や介護報酬債権は国保連合会・社会保険診療報酬支払基金などへの通知を経る3社間方式が一般的。公的機関向け売掛金のファクタリングを検討する場合は、対象債権の法的枠組みを事前に確認し、弁護士等の専門家に相談することを推奨します。

まとめ

2020年民法改正により、債権譲渡禁止特約が付いた売掛債権でも譲渡は原則有効となり、ファクタリングの法的ハードルは明確に下がりました。ただし、売掛先側の保護規定・供託権なども整備されており、完全な自由化ではありません。実務上は売掛先との関係維持が経営上の重要要素であり、2社間・3社間の方式選択や事前相談の有無で関係性への影響が変わります。2026年4月時点の情報で執筆していますが、個別案件の法的判断は弁護士等の専門家へ、最新の運用は各社公式サイトで必ずご確認ください。

免責事項

本記事は2026年4月時点の公開情報をもとに、改正民法と債権譲渡禁止特約に関する一般論を整理したものであり、個別事案の法的判断を示すものではありません。ファクタリングは売掛債権の売買であり、融資ではありません。具体的な契約内容の解釈、債権譲渡の可否、売掛先との紛争対応などの個別判断は、必ず弁護士・司法書士等の専門家へご相談ください。法令や実務運用は随時変更される可能性があります。給与ファクタリングは本記事の推奨対象外です。本記事は特定事業者への申込を推奨するものではなく、最終判断はご自身の責任で行ってください。

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