債務整理に入ると、新規の借入は事実上閉ざされます。銀行・信販・消費者金融の審査では信用情報機関(CIC・JICC・KSC)に登録された事故情報が参照され、完済から5〜10年は新規融資が通らない状態が続くのが一般的です。こうした中、事業の売掛金を保有する経営者・個人事業主から「ファクタリングなら使えるのか」という相談が増えています。ファクタリングは借入ではなく売掛債権の売買契約であり、信用情報機関の事故情報のみをもって否決される仕組みではありません。しかし、債務整理中の利用には法的・実務的な注意点が多く、弁護士・司法書士と連携しないまま動くと再生計画に悪影響を与えるリスクもあります。本記事では、債務整理中のファクタリング利用の可否と見極め方を、2026年4月時点の情報で整理します。
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ファクタリングが借入ではない根拠
ファクタリングは民法上の「債権譲渡契約」に基づく取引で、申込企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却する仕組みです。資金が動くのは「売掛債権の売買代金」として一括支払いされる形であり、返済・利息・元本といった貸金契約の要素がありません。そのため、貸金業法・利息制限法・出資法の規制対象外となり、貸金業登録も不要です(ただし、実質的に貸付と判断される取引は貸金業に該当します)。金融庁もウェブサイトにて、ファクタリングは債権譲渡契約であって貸金契約ではない旨を明示しつつ、給与債権を対象とした「給与ファクタリング」は貸金業に該当するとの判断を示しています。債務整理で問題になるのは「既存借入の返済計画の見直し」であり、新規に借入をせず売掛金を売却して資金を得る取引は、法的枠組みが異なる点が利用可能性の根拠になります。ただし、手持ちの売掛債権を売却すること自体は財産の処分にあたるため、後述する通り弁護士・管財人との連携が必須です。
任意整理・個人再生・自己破産との関係
債務整理は大きく3種類あり、それぞれファクタリング利用可否の論点が異なります。(1)任意整理:裁判外で債権者と返済条件を再交渉する手続き。事業用の売掛債権は整理対象に含まれないことが多く、事業継続を前提とする任意整理ではファクタリング利用の余地が残ります。ただし、得た資金を整理対象外の借入返済に充てると偏頗弁済とみなされる可能性があるため注意が必要です。(2)個人再生:裁判所の認可を得て債務を大幅減額する手続き。再生計画の認可前後で財産の処分は監督委員の管理下に置かれるため、売掛債権の売却は再生計画に織り込むか事前相談が必要です。(3)自己破産:免責により債務を消滅させる手続き。破産管財事件では売掛債権も破産財団に組み入れられ、管財人の権限で換価されるため、申立人が独断でファクタリングを利用することはできません。同時廃止の個人事業主の場合も、破産申立準備中の財産処分は慎重な判断が求められます。いずれの類型でも「弁護士・代理人の了承なく動かない」が実務の鉄則です。
信用情報ブラックでも使える理由
ファクタリング会社の審査は、申込企業の信用情報機関データを必須照会項目にしていないのが一般的です。理由は前述のとおり、貸金契約ではなく債権譲渡契約であり、回収リスクの主軸が「売掛先の支払能力」にあるためです。ビートレーディング・OLTA・QuQuMo・PMG・アクセルファクター・ベストファクター・ファクタリングNo.1といった主要各社は、信用情報ブラックを一律の否決理由にしていないことを公式サイト・FAQで示唆しています。ただし、会社によっては反社チェック・犯罪収益移転防止法に基づく本人確認・税金の滞納状況の確認などを行っており、これらで問題が発生した場合は買取見送りになります。また、信用情報ブラックを「売り」にして極端に甘い審査を謳う業者は、給与ファクタリングを偽装した違法貸付・手数料が実質年利数百%の悪質業者である可能性があるため、公式サイトで会社概要・所在地・代表者・電話番号が明示されているか、顧問弁護士や取引先金融機関の記載があるかなどを必ず確認してください。
給与ファクタリングを装う違法業者に注意
給与ファクタリングは、個人が将来受け取る給与債権をファクタリング会社に売却する形式を取りながら、実態は貸金業に該当するスキームです。金融庁・最高裁判決により「実質的な貸付であり、貸金業登録が必要」との判断が確定しており、登録なく営む業者は違法です。債務整理中の個人が「借りられないなら給与ファクタリングで」と勧誘されるケースが報告されていますが、利用すべきではありません。手数料名目で実質年利数百%〜数千%の支払いを強要される、取立てが悪質化する、個人情報が流出する、といった被害が頻発しています。事業者向けファクタリングでも、(1)契約書に「買戻義務」「償還請求権」が過度に強く記載されている、(2)手数料が売掛金の30%を超える、(3)会社所在地が実在しない、(4)貸金業登録番号を詐称している、などの兆候があれば即座に取引を中止し、金融庁・消費生活センター・日本弁護士連合会の相談窓口に連絡してください。給与ファクタリングは本記事では推奨しません。
受任通知後の利用可否
弁護士・司法書士に債務整理を委任した段階で、代理人から債権者に「受任通知」が送付されます。受任通知後は債権者からの直接取立てが停止されますが、事業者の売掛債権を対象とするファクタリングの利用可否は、整理の類型と代理人の方針で分岐します。任意整理中は、事業継続を前提とする場合、売掛債権の売却自体は可能なケースがあります。ただし、得た資金の使途が偏頗弁済にあたらないか、整理計画と矛盾しないかを必ず代理人に確認してください。個人再生・自己破産の準備中または開始決定後は、財産の処分が制限されるため、原則として代理人の同意・裁判所の許可なくファクタリングを利用することはできません。管財事件で破産管財人が選任されている場合、売掛債権の処分権限は管財人にあります。実務上、受任通知後のファクタリング相談を受けた各社は、代理人弁護士との連絡体制を取ることを求めるケースがあります。いずれにせよ、独断で動かず代理人との二人三脚で判断することが最優先です。
弁護士への事前相談の重要性
債務整理中にファクタリングを検討する際は、利用前に必ず担当弁護士へ相談してください。相談すべき論点は、(1)整理類型との整合性:任意整理・個人再生・自己破産のいずれで、売掛債権の処分が許容されるか、(2)使途の適法性:ファクタリングで得た資金の使途が偏頗弁済・財産隠匿にあたらないか、(3)手数料水準の妥当性:実質的に貸金に近い条件になっていないか、(4)契約条項の確認:買戻義務・償還請求権・譲渡禁止特約の扱い、(5)事業再生計画との整合:ファクタリング利用が再生計画の実効性を高めるか、逆に資金コストを悪化させるか、といった点です。弁護士費用を抑えたい場合は、法テラス・各地の弁護士会の中小企業法律相談・商工会議所の経営相談を利用できます。中小企業活性化協議会・認定経営革新等支援機関も事業再生支援の窓口として有効です。ファクタリングは「債務整理の回避策」ではなく「事業再生計画の一部」として位置づけるのが健全な使い方です。
よくある質問
受任通知後でも申込めますか?
事業の売掛金が対象であり、任意整理など事業継続を前提とする類型であれば、代理人弁護士の了承のもと利用可能な場合があります。個人再生・自己破産の準備中または開始決定後は、原則として代理人の同意・裁判所の許可が必要です。受任通知後の利用を検討する際は、必ず担当弁護士に相談し、独断で動かないでください。
信用情報は照会されますか?
ファクタリング会社により運用が異なりますが、売掛先審査が主軸のため、申込企業の信用情報機関データを必須照会項目にしていないケースが一般的です。ただし、反社チェック・本人確認・税金滞納状況の確認などは各社で実施されます。信用情報ブラックを「一律OK」と喧伝する業者はかえって警戒すべき対象で、会社概要・所在地・代表者名の実在性を必ず確認してください。
給与ファクタリングは使ってよい?
給与ファクタリングは貸金業に該当する違法スキームとの最高裁判決が出ており、利用すべきではありません。債務整理中の個人が勧誘を受けるケースもありますが、手数料名目で実質年利数百%〜数千%の支払いを強要されるトラブルが多発しています。被害に遭った場合は金融庁・消費生活センター・日本弁護士連合会の相談窓口に連絡してください。
まとめ
債務整理中でも、事業者の売掛債権を対象とするファクタリングは利用可能性が残るケースがあります。ただし、利用前には担当弁護士・司法書士に必ず相談し、整理類型との整合性・資金使途の適法性・契約条件の妥当性を確認してください。信用情報ブラックを「売り」にする業者・給与ファクタリング業者は違法リスクが高く、利用を避けるべきです。ファクタリングは債務整理の回避策ではなく、事業再生計画の一部として位置づけるのが健全な使い方です。2026年4月時点の情報をもとに執筆していますが、各社の最新条件は公式サイトでご確認ください。
免責事項
ファクタリングは売掛債権の売買であり、融資ではありません。本記事は2026年4月時点の一般的な情報提供を目的としたもので、特定のサービスの利用を推奨するものではなく、審査通過を保証するものでもありません。手数料率・対応範囲・審査条件は各社の商品改定により変動します。債務整理中の資金調達を検討する際は、担当弁護士・司法書士・認定支援機関・中小企業活性化協議会など専門家への相談を最優先してください。給与ファクタリングは貸金業に該当する違法スキームとの判断が出ており、本記事では推奨しません。